リーダーシップの限界 2020 7 12

書名 日本経済 予言の書
著者 鈴木 貴博  PHPビジネス新書

「誰がやっても」
 国民から見れば、新型コロナウイルスの対応をめぐって、
安倍政権は、迷走しているように見えます。
それが支持率の低下を招いているのかもしれません。
 国民の不満は、いわゆる「アベノマスク」に象徴されますが、
市販のマスクですら、長期間に渡って、市場から消えていました。
 さらに、手指消毒用のアルコールに至っては、
いまだに安定供給されていません。
 しかし、現状のシステムでは、
誰が首相をやっても、迷走は避けられないのです。
 これは、経営学から見れば明白でしょう。
このような問題は、昔からある古典的な問題でしょう。
 強力なリーダーシップを持てば持つほど、
迷走が大きくなるのが、経営学上の必然です。
 著者は、こう言います。
これは、昔からある「サラリーマン経営者企業」と、
「オーナー経営者企業」の問題であるという。
 よく言われるのは、サラリーマン経営者は議長型、
オーナー経営者は大統領型の経営になりがちだと言います。
 ただし、オーナー経営者が強力なリーダーシップを持てば持つほど、
幹部社員は、経営者の顔色をうかがうようになり、
さらに、オーナー経営者の気持ちを忖度するようになるのです。
 もちろん、オーナー経営者企業が得意分野に専念していれば問題ありませんが、
オーナー経営者企業は成功すると、事業の多角化をやりたがるのです。
たとえば、通信事業に進出してみたり、宇宙事業に進出してみたくなるのです。
 ところが、経営コンサルタントの著者にしてみれば、
「本業以外の事業分野への進出では苦戦をすることが多い」という。
 こんな時に、頼りにするのが幹部社員でしょうが、
幹部社員は、日ごろから「忖度」に忙しいので、
急に経営上の問題を相談されても困るのです。
 「トップが細かいところまでわかっていない事業について、
組織の下にイエスマンが揃うと、
経営戦略判断がちぐはぐになってしまう現象が起こる。
 今まで経営判断に自信を持っていたトップも、
新しい現実の前に何が重要かよくわからなくなる。
幹部社員は、そのトップの判断を待って動かない」
 これは、経営学にとっては、古くて新しい問題でしょう。
歴史学者は、こう言うかもしれません。
「これは、江戸時代にもあった問題でもある」と。




























































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